当方、しがない一人暮らしだ。
男の一人暮らしは大体において不精になりがちで、その不精が思いもかけないファンタジーを生み出すこともある。
過日、メロンを食した。
まな板の上でメロンを真っ二つにして、種を抜いて喰らった。
その際。
種はビニール袋に入れて生ゴミ扱いにして捨てた。
でも。
種の何個かが、まな板の上に乗っていた。
それは、まな板を洗う時に排水溝に吸い込まれていった。
はずだった。
それから数週間。
仕事を終え帰宅する。
そして。
台所で手を洗おうとすると、フシギな物体がニョキニョキと伸びているのに気付く。
驚く。
私は台所で植物の類を栽培している覚えはない。
激しく狼狽する。
排水溝の蓋を開け、恐る恐るニョキニョキと伸びている何かを引き抜く。

メロンの種から芽が出ていました。(´Д`;)
過去、玉葱から芽を出したことはあるが、メロンの種から芽を出した事はなかった。
いやはや実に尊ぶべき自然の神秘という奴だ。
・・・気持ちが悪い。
とてもじゃないが尊ぶべき気分にはなれそうにない。
所詮人間の言ってる自然なんて人間の好きな自然でしかないってのは全くもって正論だと思う。
意図せぬところで自分の住居に知らないうちに生命が育まれるというのは、どうも生理的に耐え難いものがある。
野に咲く花は愛でられても、自分の部屋の排水溝から生えて来たメロンの芽を愛でる事は出来ぬ。
劇画の世界でしかありえないと思っていたが、この分だといつか自分の部屋の何処かからキノコが生えてきそうでゾっとした。
少しは清潔な暮らしをしようと思った夏の夜。
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